保育園のころ、園に大型の積み木がありました。うまく組み合わせると乗って遊べる車ができ上るのです。でも一つ年上のちょっと怖いお兄さんがいつも使っていて、「あれで遊びたいなー」と思っていたものです。自分で作ったもので、「乗って遊べる」のですから、こんなに魅力的なことはありません。
〇と□でできる車を作ったのは、三好養護学校で13年目のころでした。知的障害の子どもたちでしたので、少々荒っぽい乗り方をする子供もいましたが、お尻がずれて落ちる子はいませんでした。しかし、瀬戸特別支援学校では肢体不自由の子どもたちですので座位は取れるのですが、保持する能力や安定度を考えると、安全性を高める必要を感じました。お尻が後方にずれると落ちる危険性があることから、「これ以上後ろには、お尻がずれないように」板を付けました。
形の認識は十分にできる子どもたちでしたので、とりたてて〇や□を意識させるような授業はしませんでした。
丸い板はタイヤと分かるように黒色に塗ってありましたが、摩擦で色が落ちると廊下に黒い線が残ってしまうことがあり、色はつけないことにしました。
作業としては、穴に入れる、ねじを回す、もう一つ入れるなど操作は単純ですが、子どもたちにとっては順番と巧緻性が要求されます。最後には乗って遊ぶことができる。
学年が進み、学部が進むと、ボルトとナットを組み合わせたり、分離させたりすることで課題とか作業とか言って、授業の中心にすることがあります。ボールペンの組み立てや分解だったり、ビーズのひも通しだったり、型はめだったりです。この作業にどのような意味があるかについては語られることがありません。正確に、速く、数をこなすことが求められます。
「ボルトとナットを組み合わせるとこんなことができる」という経験を遊びの中で体験する。遊びの中で身につけた経験が将来の働く力につながっていく、そんな授業を目指すための教材として考え出したものです。
特別支援学級の2人の先生から依頼があり、2台ずつ作ったことがありました。
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