10以下の場合でもあることだが、10以上の物を数えるとなると同じものを何度も数えたり、いくつまで数えたか分からなくなったりする。その対応策として、数えたものは他の場所に移すとか、〇で囲うなどして同じものを数えないように工夫する。
10よりたくさんの物を数えるとき、「11,12,13,14・・・・」と順番に数唱するよりも、10ずつの塊を作って「10の塊の数と10の塊にならなかった数を合わせて○○」と数えたほうが間違いが少ない。(数の合成が理解できているか、その途中)
この円筒形の筒には、さいころがちょうど10個入ります。それぞれの子どもの前に30個程のさいころを置いて、筒の中にさいころを入れながら数えることにしました。1本集めたところで次の筒に入れるのですが「じゅういち、じゅうに、じゅうさん、・・・」と唱えながら集める子もいれば、再度「いち、に、さん、し、・・」と唱える子もいました。全部集めたところで「いくつあった」と聞くことにしました。個数を変えて何度か繰り返すと、唱えながら筒にさいころを入れる子どもはいなくなり、「いくつあった」と聞くと、いっぱいになった筒がいくつあるか、筒に入らなかったさいころがいくつあるかで答えるようになりました。
この筒は、補数や繰り上がり繰り下がりの考え方にも使えます。補数であれば、「9個入れれば、後いくつ入るか」「7個入れれば後いくつ入るか」を考えることになります。繰り上がりの計算であれば、筒に入れていっぱいになれば筒が1本増え、繰り下がりでは、筒を1本逆さまにして中身を取り出すと筒は1本減るとなります。
これは本当に偶然のことなのですが、筒は「理想科学工業(株)の印刷機、リソグラフのマスター原紙の芯」です。さいころは100円ショップの「4個だか5個で100円」のもののようです。誰かが教材室の片隅にたくさん置いていったものです。
この筒のすごさは、10個入れて中がいっぱいになっても、何個入っているかは外からは見えないことです。筒を1本、2本と数えることはできますが、中にいくつ入っているかは「10入っている」と想定するのみです。
さいころが10個入るように仕切りをつけた箱を作ったり、1円玉10枚を一列に並べられるように区切りをつけたマスを描いたりしてきましたが、さいころも1円玉も10個見えていますので「10のかたまりが1
つ」」とは考えられないようです。「10のかたまりって何?」「10なのにひとつ ってどういうこと?」となるようです。この筒とさいころは、具体物の数だけではなく「数」や「量(大きさ・長さ・高さ・広さ)」など数の概念を育ててくれると考えます。
具体物の操作で認識を高める経験をさせたいのだが、肢体不自由の子供たちには、算数セットの数え棒では細すぎて扱いにくい。
3㎝角のさいころであれば転がらないし持ちやすい。
「リソグラフの芯」と「3㎝角のさいころ」これは本当に使えると思いました。
* 3㎝角の立方体を100個用意すると、2000~3000円はかかるようです。木材加工のできる人に頼めば、1000円で200個く
らいできると思います。
* 現役で職場にいたころには、リソグラフの筒を10本用意して持っていたのですが、現役を退いた現在手元には2本しか残っ
ていませんでしたので、動画で紹介した筒はホームセンターで購入したものを加工しました。
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